☆ 移乗用具について

本人の残存している身体能力をできるだけ活かせるようにと、ベッドから車いす・車いすからトイレ、または入浴動作・車の乗降などをスムーズに行うことを助ける移乗用具と呼ばれる商品が重視されるようになってきました。移乗は大きく分けて立位・座位・リフトに分かれますが、ここでいう移乗用具とは、座位およびリフトでの移乗時に役立つ用具や機器のことをいいます。 

これまで在宅においては、福祉用具のなかでも特に馴染みが少なかった移乗用具ですが、介護保険の施行により訪問看護・訪問介護時のケアが重視されてきたことから、ますます脚光を浴び、必要とされるようになる商品と言えます。

移乗用具が本当の意味で利用者に喜ばれる商品になるためには、使用方法の指導や研修会等を通しての正しい使い方の普及等、問題を抱えています。

 

◎普及への難点                   ◎打開策

1.特長・役割の理解及び説明が難しい   1.勉強会・研修会の開催

2.介護技術を要する           2.介護技術のマニュアル化

3.価格が高い              3.手にして試す機会を持つ

 

☆ 方向転換のための用具

     座位に限らず、立位での移乗でも、方向転換は重要な移乗動作といえます。特に、足を移

動させることができない方の場合、向きを変えることのできる方向変換のための用具が役立ちます。

◎ スイングアーム介助バー (パラマウントベッド)

方向転換だけでなく、立ち上がり時に、立位保持にも有効です。  

○  立てるんバー/アシストバー【KQ-82・KQ-84】 (パラマウントベッド)

立位での移乗時に活躍する、移乗バーです。立ち上がりが楽に行え安定した姿勢を保持します。

 

◎  イージーターン【回転クッション】 (ラックヘルスケア)

足を移動させることのできない方の方向転換に便利です。座位での方向転換に主に使います。

○   ぺディターン  (ラックヘルスケア)

イージーターンの浴室使用タイプです。防水加工済み

○  らくらく移動回転盤 (ラックヘルスケア)

体重が乗っても大丈夫な硬いターンテーブル(回転盤)です。立位での方向転換用です。

 

☆ 座位による移乗用具(トランスファー用具)

    ベッドと車いす、車いすとトイレ等の間における移乗では、移乗するベッドと車いす間の高さの違い、間の空間が問題点となります。この時に、トランスファー用具と呼ばれる移乗用ボードや移乗用シートが用いられ、身体を滑らせて移乗させる方法がとられたり、ベッドの高さ調整等、移乗物自体の高さを調整する方法がとられています。

 

   ◎  MTSボード (パシフィックサプライ)

   ベッドを車いす間の移乗をスムーズに行うのを容易にする用具です。表面が滑りやすい加工を施してあり、移乗をより簡単に行うよう配慮されています。

※ 但し、橋渡しの距離は10cm以下。 両端は15cm以上で支えられていること。

 

   ○  ノルディックスライド (アマノ梶j

   車いすとベッドの間等の移乗、ベッド上でのズレ修正に使用します。シートの内側生地が非常にすべりやすく、移乗が用意に行えます。

 

   ○  ヒップベルト (パシフィックサプライ)

   ベッド上でのズレ位置修正、車いす上での座位位置修正に使用します。上記、ノルディックスライドとの併用で、介助がより容易に楽になります。

 

 

☆ その他の移乗用具 

   

○  マルチ(移動シート) (ラックヘルスケア)

筒状の滑りやすい素材が自由自在に動くことにより、ベッド上での体位移動を楽に行えます。

薄いシート状なので、摩擦やズレ防止効果もあります。また、持ち運び時の簡易さも利点のひとつと言えます。

○  介護用移動マット ラクラックス(帝健)

   ベッド上での体位移動、体位変換を楽に行えるマットです。内側の素材をすべりやすいものにしてあり、少しの力で移乗させることができます。主に、ベッドから離れられない方用。

 

○  MTSサポート (パシフィックサプライ)

   立位移乗時等に、介助者の負担を楽にする介助用ベルトです。濡れた身体でも使用できます。握り手が周囲に付いているため非常に使用しやすいです。

 

○  MTSリフト (パシフィックサプライ)

   床からの持ち上げや体位変換、移乗用具としても使用できるマルチタイプです。

 

☆ リフトによる移乗

@     リフトの利点

寝たきりから座位姿勢が多くなり身体機能が回復する。

腰痛防止等、介助負担の軽減になる。

 

A     リフトの種類

移動用リフト(床走行式)

     固定式リフト(アーム回転式)

     天井走行式 

 

B     移動用リフト(床走行式)

吊り下げ式と座位姿勢を保つ姿勢せ膝や腰などを支持して移動させる台座式があります。吊り下げ式は、吊り具(スリングシート)を身体の下に敷きこみ、持ち上げて介助者が操作し移動させます。リフトのなかでは、比較的安価な方なので、在宅でも、多く使われるようになってきています。但し、介助技術の指導を受けられる環境が必要です。

○  床走行式電動介護リフト【KQ-770】 (パラマウントベッド)

使用場面により、脚部幅の調整が可能です。ベッド上だけでなく、直接床からの移動も可能です。

 

C     固定式リフト(アーム回転式)

アームの稼動範囲が移動範囲となるため、特定の場所(浴室・玄関・ベッドサイド)で行う移動・移乗に使います。アームとモーターが取り外せる機種もあり、マスト(軸)部分を複数立てて、共用することもできます。介護保険レンタル適用商品。

○  つるベー (モリト-)

 

D     固定式リフト(やぐら型走行リフト)

天井走行式(据え置き型)とも分類されるリフトです。やぐら架台の上に取り付けられた直線レールを移動するやぐら型は、特定の部屋の移動用として使用される。簡易に設置でき、操作性も良いため在宅向きといえます。介護保険レンタル適用商品。

○  アーチパートナー (明電興産)

 

E     天井走行式

天井に設置されたレールの下をリフトが走る天井走行リフトは、移動リフトのうちで最も操作性がよく、長距離の移動に適するリフトです。ベッドから、浴室・トイレ・車いすなどへ身体を吊り上げ移乗させることができるので、介助力の大幅な軽減にも繋がります。吊り上げ操作は電動、レール走行は電動と手動があります。移動させたい場所にあわせて、直線・曲線・ターンテーブルを組み合わせます。設置時には、天井面の補強工事、天井高さの均一化等大掛かりになるため、新築時や大規模な改造の場合に限定されることが多いです。また、レールが設置されている場所の真下にしか身体を下ろすことができないので、レールと便器、浴槽、ベッドなどとの位置合わせが重要になります。

○ 水平トランスファーシステム パートナー (明電興産)

 

F     吊り具(スリングシート)

現在最も普及している吊り具は脚分離型と呼ばれているもので、身体を包み込む必要がある場合に用いるフルサイズと頭部を支える必要がない場合に用いるハーフサイズがあります。吊り方は、交差式と開脚式があり、交差式の場合は左右それぞれの大腿部をくぐらせたシート脚部を大腿部の間で交差してフックに掛けます。開脚式は左右ともに両方の大腿部をくぐらせる吊り方です。素材はポリエステルや強化ナイロンが多いです。浴室用のものもあります。

○ スリングシート【ハーフサイズ・フルサイズ】 (パラマウントベッド)

○ ウェルネットスリングシート【ハーフ・フル】 (ウェルネット研究所)

○ ウェルネット入浴用スリングシート【ハーフ・フル】 (ウェルネット研究所)

ベルト型吊り具と呼ばれるものは、着脱が容易なため介助者には使いやすい。しかし、背中部と大腿部の2本のベルトの間に身体が落ちてしまう恐れのある、体乾の維持ができない方の場合は危険となる。

○ ツーピースベルト (明電興産)

     

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